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風通しがよいフラットな関係を基軸に、社内カルチャーを社員エンゲージメントチームが推進

「Deliver better everyday health with humanity.」(もっと健康に、ずっと寄りそって)のパーパスを掲げて2022年7月に発足したHaleonは、社内カルチャーにおいても新しく生まれ変わりました。 日本では、「Culture Craft Engine」(カルチャー・クラフト・エンジン)と名付けられた社員グループが、「カルクラ」という愛称で社員によるカルチャー醸成をリード。 トップダウンでもボトムアップでもなく、経営陣と共に会社全体で進める日本のHaleonのカルチャー醸成はいかに行われたのか? 2023年の活動を振り返り、1年間活動したカルクラ初代メンバーにインタビューを行いました。

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後方左より Commercial Excellence 新倉 和訓(シンクラ カズノリ) Sales 松本 吉生(マツモト ヨシオ) Sales 加藤 直人(カトウ ナオト) マーケティング 伊藤 麻希子(イトウ マキコ) マーケティング 齋藤 朋子(サイトウ トモコ) CMO Quality  野場 静(ノバ シズカ)

カスタマー・サプライチェーン 金 真伊(キム ジニ) メディカル 陶山 和明(スヤマ カズアキ)

前方左より 人財EHS 渡邊 美樹(ワタナベ ミキ) Expert Sales 百崎 千紘(モモサキ チヒロ) 開発薬事  片岡 茜 (カタオカ アカネ) Commercial Excellence 小嶋 草太(コジマ ソウタ)

――Haleonのカルチャーと「カルクラ」が生まれた経緯を教えてください

陶山:社内カルチャーは、Haleonの「We always do the right thing(我々は正しく行動する)」を基盤にしています。そして「Go Beyond(限界を越える)」、「Do What Matters Most(重要なことを見極め、集中する)」、「Keep it Human(まわりへの深い理解と共感)」という3つの行動指針から成り立っています。正しく行動する、これは当たり前のことですが、何が正しくて、何が正しくないのか、ただルールやガイドラインを決めてそれに従うのではなく、これら3つの行動指針から、それぞれが自ら考えていくことを目的としています。Haleonは定期的に全社員を対象にエンゲージメントサーベイを行っています。この調査から、パーパス、戦略の理解、カルチャーは浸透しつつあり、成長や発展は感じられる一方で、チーム内の支え合いや部署を越えたつながりの弱さが課題として挙げられました。Haleonらしい新しいカルチャーを醸成しようということで、2023年に社員チームが発足しました。

「カルチャー・クラフト・エンジン」(愛称 カルクラ)では役職や所属にとらわれないフラットな関係を特長とし、部門の代表としてではなく、全体を見渡せる会社の代表としてカルチャーの推進を目指してスタートしました。

――「カルクラ」というチームのネーミングの由来を教えてください

松本:カルクラの活動目標である「Great Place To Work」(やりがいのある職場)を実現するために集まったチームとして、社員が記憶しやすく、目的がイメージできるチーム名は何だろうと、全メンバーでアイデアを出し合いました。そこで、最終的に選ばれたのが、私の案である「Culture Craft Engine」でした。

以前受講したセミナーでの「“Job Craft”を実行することで、なにかをやらされているのではなく、自らが当事者となり前向きに物事をとらえられる」という内容が記憶に残っており、カルチャーも一人ひとりが当事者となりポジティブな気持ちを持ってもらいたいという想いを込めて名前を提案しました。「カルクラ」と略すことで、親しみやすく浸透力が高まったと感じています。

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――チームに選抜されて感じたことは?

齋藤:カルチャーを新しく変えていく、スタートメンバーとして活動できるということにワクワク感しかありませんでした。また、他の部署の人たちと一緒に仕事ができる機会は少ないので、刺激になると思いました。カルクラのビジョンを作るにあたり、「目標は決まっているがそれ以外は自由」という、新しい進め方も魅力的でした。経営陣と社員の架け橋のような立場もやる気につながりました。

――どのような社員組織で活動されているのでしょうか?

野場:カルクラのスタートメンバーは13名で構成されています。部署や性別、役職などに片寄りはありません。実は、本年(2024年)はまた新しいチーム構成でスタートします。新しいチームでは、今までのフレームワークを継続するのではなく、どのように進めるか、すべてをディスカッションで決めていきます。新チームの特徴を活かし、同じことの繰り返しではなく、新しく生み出していくのが「カルクラ」なのです。

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伊藤:新型コロナウイルス感染症の5類感染症への変更タイミングで開催された全社会議では、念願の全社員が全国から集まれる機会となりました。そこで、社員同士のつながりを作りたいという思いを持ち、全社会議の場を利用して、カルクラとして企画を実施することを経営陣に提案し、実施しました。部門横断でのチームを作り、チーム内で戦略を考えながら手を動かす、チーム対抗戦のゲームだったのですが、社員の皆さんが非常に熱く、真剣に、楽しそうに参加して盛り上がっている様子を目の当たりにし、開催側のカルクラメンバーも熱くなりました。フィードバックのアンケートでも好評で、地域、所属など様々で普段関わりのない人たちのつながりを達成できた企画でした。

片岡:「39Week」とは、毎月3日から9日に感謝の気持ちを伝えようというコンセプトで「“ありがとう”を伝え合う」カルチャーの醸成を行いました。エンゲージメントサーベイの結果から、コロナ禍でリモートワークがメインとなりコミュケーション不足が課題として上がっていました。「e-card」だけではなく、より簡単に送れるTeamsでのスタンプを作成し、またポストカードも用意しました。

アンケート調査では、9割が「感謝を伝えることで変化を感じた」と答えていました。「ありがとう」の一言で「コミュケーションが広がった」、「チームが明るくなった」、「仕事が円滑になった」などのフィードバックがありました。さらに職場だけでなく、家庭やプライベートでも「ありがとう」を伝えることでいいことがあったという報告もありましたね。

加藤:「アイデアボックス」では、社員のアイデアや想いを吸い上げる仕組みを作りました。カルクラが主体で行った調査で社員のアイデアを吸い上げる仕組みが欲しいという課題が挙げられており、「アイデアボックス」という形で実現しました。結果、半年間で17の提案がアイデアボックスに寄せられました。その中で採用されなかった提案も、経営陣との間でも議題として真剣に議論が交わされました。採用の可否に関係なく、満足感、肯定感が得られ将来的には会社や仲間同士の信頼感につながると考えています。このプログラムは今後も継続したいという声が経営陣からもあり、続けていきたいと思っています。

百崎:実際に私自身も、アイデアボックスに投稿しプレゼンを行ったところ、採用されました。一人だったら提案していなかったかもしれませんが、カルクラ活動の中で異なる部署の小嶋が同じ想いを抱いていることが分かり、背中を押されました。やりたいことがあれば声を上げることが大切で、社員の意見に経営陣が耳を傾けるカルチャーの重要性を知りました。

伊藤: 「カジュアル勉強会」では、気軽に楽しく参加できる勉強会を開催することで社員のケイパビリティ(組織の能力、強み)を高めようという目的で、月に1回実施してきました。メンバー内で関心のありそうな議題をリストアップし、特にニーズの高そうな議題を選択しています。Haleonでは専門性が高い社員が多く存在するため、議題に合わせて講師にふさわしい方にご依頼させていただき、毎回、オンラインを含めて70~100人が参加しています。フィードバックとしてアンケートをとると、「とにかく楽しい」、「肩肘をはらない雰囲気が良い」と高評価を得ています。その他、「次はこんなテーマが欲しい」とアイデアをいただくこともあり、積極的に参加いただいていることがわかり、励みになります。

――活動を始めて、どのようなチャレンジがありましたか

金:様々な期待を受けて活動していく中で、KPI(重要業績評価指標)がある通常のビジネスとは違い、カルチャーの醸成、そしてカルクラの活動はある意味答えがないものと感じました。何度もディスカッションを重ねていく上で、初期は コロナ禍ということも重なり3つの活動を実際に落とし込んでいく作業は大変でした。共通認識を持ちながら目標に向かって、効率的な話し合いを進めていったことは大きなチャレンジだったと思います。1年間の活動の中、日々の仕事の忙しさ、プライベートとの兼ね合いもありましたが、アンケートの内容が励みになったり、カルクラの活動がよい気分転換になったり、モチベーションを高く保つことができました。 「どこまで浸透できたか」は、残された課題だと思います。今回はここまで学びを得たので、次のメンバーへ引き継ぎたいと思います。

――活動によってどのように変化がありましたか

小嶋:カルクラで活動していく中で、組織の中での動く際の判断基準が自分軸から他人軸に変わりました。「自分は何をやりたいのか・何を得たいのか」から始まり、「他の人はどうしたいのか・他の人にとって良いことは何か?」という視点に移っていきました。「誰が為(タガタメ)」を考えるようになり、他の方々やチーム外の声をより聴く姿勢が強くなりました。

齋藤:やることが決まっている、ルールが決まっている方がやりやすいのではないか、と以前は考えていた部分があったように思えます。時にチームメンバーにリーダーやマネージャーが「指示」することで、よりスムーズに物事が進むのではないかと。カルクラの活動を通して、自ら「やりたいこと」を大事にすることがモチベーションにつながることを、改めて実感することができました。チームメンバーに対しても、自分が提案し過ぎることは多分にあると思いますが、何をやりたいかを引き出す方がモチベーションを高く保つことができることを管理職としても改めて学んだと思います。

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渡邊:活動を開始した時期は社員の在宅勤務が多かったため、カルクラの活動がどこまで受け入れられるか心配でしたが、勉強会や社員のつながりの強化を通じて浸透力を実感しました。社員自身が動くことが大事です。親しみやすいカルクラ活動で他の社員のモチベーションも上がり、よいフレームワークが出来上がったと感じています。

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――それぞれご自身がカルクラで実現できたこと、得たことや学びなどがあれば教えてください

新倉:自分自身の会社に対してのエンゲージメントを高めることができました。会社組織全体に対して、様々な視点から見る、判断するという考え方が醸成されました。会社の方向性、働く環境は重要事項だと改めて認識しました。

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百崎:「39ウイーク」の活動を行う上で、ありがとうや感謝を伝えることの重要性を改めて感じました。普通にできること、あたり前のことですが、声に出して伝えることが大事ですね。

――これからのHALEONのカルチャー、希望を教えてください

小嶋:カルチャーの醸成というと堅苦しく聞こえてしまい、自分一人が活動しても何も変わらないと思う方も多くいると思います。しかし、1年間活動を続け、一人ひとりの活動がミルフィーユのように重なり合い、職場をよりよくすることに少しは貢献できたと感じています。2年目に移行していく段階で、カルチャーは会社から与えられるものではなく自分たちで作っていくものだということを伝え、カルクラの卒業生としての背中を見せていきたいと思います。前例がないことを作っていくのが、カルクラの使命です。このチームが終了しても、つながりを持ちつつ、挑戦する人を一緒に応援できるカルチャーをつくることが大切だと感じています。自分のフィールドに戻ったときも、この活動をムダにせず継続していくことで、よりよい会社に成長していくのだと信じています。

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